秋になると、夏のあいだに伸びたサクラの枝が気になってきます。「落ち葉が散らかる前に切ってしまいたい」「道路や隣の敷地に枝が出てきた」と、10月のうちにハサミを入れたくなる方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、サクラの剪定は葉が落ちた後の11月〜2月が基本です。葉が付いている秋に大きく切るのは避け、10月は枯れ枝や根元の状態を確認して、冬の剪定に備える時期と考えてください。
この記事では、庭のサクラ(ソメイヨシノなど)について、剪定の適期、秋に切らないほうがよい理由、秋のうちにやっておくこと、落葉後の切り方と切り口の処置を、公的機関や専門団体の資料をもとに解説します。
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🐱 松葉「サクラの枝が伸びたので、葉が落ちる前にバッサリ切っておきます!」
👴 松之助「待つんじゃ。サクラは葉が落ちてから切る木じゃよ。秋はよく見ておくだけでよいんじゃ」
サクラの剪定時期はいつ?秋に切ってもいい?

Q. サクラの剪定はいつ行いますか?
A. 葉が落ちた後の11月〜2月が基本です。公益財団法人日本花の会は、サクラの剪定時期を「落葉後の11月-3月上旬」としています。木が休眠している間に切ると負担が少なく、葉がないので枝ぶりも確認しやすくなります。遅くとも3月上旬までに終えましょう。
Q. 10月に切ってもいいですか?
A. 葉が付いているうちに枝を大きく切るのは避けます。10月は枯れ枝や危険な枝の確認にとどめ、切る作業は葉が落ちきってから行います。11月に入っても葉が残っている場合は、落ちるまで待ちます。
| 時期 | 主な作業 | 注意点 |
|---|---|---|
| 10月〜落葉前 | 枯れ枝・危険な枝の確認、根元の木くずの確認 | 葉の付いた枝を大きく切らない |
| 落葉後の11月〜2月 | 不要な枝を付け根から切る剪定 | 太い枝はなるべく切らない。太い枝を切ったら切り口に保護剤を塗る。遅くとも3月上旬まで |
| 春〜夏(生長期) | 基本は切らない | 生長期の強い剪定は、花が咲かなくなる原因になる |
🐱 松葉「葉が落ちるまで待つと、枝の形もよく見えますね!」
👴 松之助「そうじゃ。木が休んでいる間に切るほうが、負担も少ないんじゃよ」
なぜ「桜切る馬鹿」と言われるのか
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあるように、サクラは切り方に注意が必要な木です。日本花の会は、サクラについて「枝の切口から腐りやすく、太い枝を切ると木が衰弱する原因となります」と説明しています。
ただし、サクラを切ってはいけないわけではありません。同会は、大木になってから枝を切らずに済むよう、植え付けてから5年目までの間に将来の樹形をつくる剪定を行うこと、剪定バサミで切れる太さのうちに切ることをすすめています。大切なのは「切らない」ことではなく、時期を選び、細い枝のうちに、正しい位置で切ることです。
秋(落葉前)にサクラを切らない3つの理由
- 葉にためた栄養を木に戻せなくなる:埼玉県の街路樹剪定マニュアルは、葉がまだ青い秋の剪定を避けるべき剪定に挙げています。夏の間に葉に貯めた栄養分を、木に蓄えられなくなるためです。
- 切った後に芽吹いた若葉が冬に枯れる:同マニュアルによると、秋に枝葉を落とすと木は再び芽吹こうとしますが、季節外れに開いた若葉はそのまま冬を迎えて枯れてしまいます。
- 枝先を切り詰めると来春の花が減る:サクラの花芽は前の年の夏にでき、冬の間は休眠して春に咲きます。秋の時点で、枝にはすでに来春の花芽が付いています。落ち葉を減らそうと枝先を一律に切り詰めると、その分だけ花が減ります。花芽は冬の剪定のときにも付いているので、冬も枝先は切り詰めず、不要な枝を付け根から間引きます。
🐱 松葉「秋に切ると、木がためた栄養まで捨ててしまうんですね!」
👴 松之助「そのとおりじゃ。葉はまだ冬支度の仕事中なんじゃ。落ちるまで待ってやるんじゃよ」
秋のうちにやっておくこと(10月〜落葉前)
切るのは冬まで待ちますが、秋のうちにできる準備があります。次の3つを確認しておくと、落葉後の剪定がスムーズになります。
- 枯れ枝・折れ枝を見つけておく:葉が残っているうちは、葉の出ていない枯れ枝を見つけやすくなります。写真を撮るか、ひもなどで目印を付けておきます。
- 通行のじゃまになる枝を確認する:道路や通路に低く張り出した枝、隣の敷地に出ている枝を確認し、冬に切る枝を決めておきます。
- 幹と根元に木くずがないか見る:幹に穴がある、根元に木くずがたまっている場合は、木の中に虫がいる可能性があります。
折れてぶら下がっている枝など、落下のおそれがある枝は冬を待たずに対処が必要です。高い位置にある場合は自分で切らず、専門業者に相談してください。
川崎・横浜ではクビアカツヤカミキリにも注意
サクラの根元の木くずで、いま特に気をつけたいのが特定外来生物のクビアカツヤカミキリです。横浜市によると、サクラ・ウメ・モモなどバラ科の樹木に被害を与える虫で、幼虫が木の内部を食べ、「フラス」と呼ばれるフンと木くずの混ざったものを外に出します。
川崎市では2026年6月に宮前区の菅生緑地で市内初の確認があり、横浜市でも2026年6月30日に市内の公園で幼虫とフラスが見つかっています。フラスが出る時期は、横浜市の案内では6月から10月頃まで、川崎市の案内では主に4月から10月頃です。横浜市は、冬は幼虫が休眠するため新しいフラスは出ないとしています。新しいフラスが出るのは10月頃までなので、今のうちに根元を確認しておきましょう。
根元に木くずを見つけたら、掃除する前に写真を撮っておきましょう。神奈川県は、クビアカツヤカミキリを見つけたら生きたまま持ち帰らずその場で捕殺し、見つけた場所の市町村の担当課か県の自然環境保全課へ連絡するよう案内しています。川崎市は環境局総務部企画課で、WEBの報告フォームも用意されています(各自治体のページは記事末の出典を参照)。なお、在来のカミキリムシの幼虫でも木くずは出ます。見分け方と対処はテッポウムシ(カミキリムシ)の見つけ方と駆除で解説しています。
🐱 松葉「根元に木くずがあったら、ほうきで掃いてスッキリさせます!」
👴 松之助「掃く前に、まず写真じゃ。虫のしわざかもしれんからのう」
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落葉後(11月〜2月)の正しい切り方

切る枝
日本花の会は、サクラで剪定する枝として次のものを挙げています。
- ひこばえ・台芽:地際から伸びる枝。切らないと栄養がこの枝に集中する
- ふところ枝・からみ枝:他の枝に絡むように伸びる枝。こすれて傷ができ、腐りが入りやすくなる
- 胴ぶき枝と低い位置の枝:幹から直接出る枝や、将来通行のじゃまになる高さ1.5〜2.0m以下の枝は早めに切る
- さかさ枝:樹形を乱す枝
- 枯れ枝:秋に目印を付けておいた枝
切る位置は「枝の付け根」
サクラの枝は、途中で切らずに付け根で切ります。日本花の会は、枝を途中で切るとそこから腐朽菌が侵入し、太枝や幹の腐朽が進むとして、不適切な剪定の例に挙げています。
付け根で切るときは、枝の根元のふくらんだ部分(枝のえり・ブランチカラー)を残します。埼玉県の街路樹剪定マニュアルによると、えりを傷つけて幹に接して切り落とすと、切り口をふさぐ組織が壊れ、腐朽菌が入りやすくなります。
500円玉以上の太さの枝について、日本花の会は次の手順を示しています(高い位置の枝や太い枝は、無理をせず専門業者に相談してください)。
- 切る枝の下側に、太さの3分の1ほど切れ目を入れる
- 上から枝を切り落とす
- えりを残して、幹に沿って切り口が平らになるように切り直す
- 切り口に保護剤を塗る
切り口には保護剤を塗る
Q. サクラの切り口には何を塗りますか?
A. 樹木用の保護剤(癒合剤)を塗ります。日本花の会は、太い枝の切り口には必ず保護剤を塗るよう案内しています。市販品では、殺菌剤入りの塗布剤「トップジンMペースト」が、樹木類の切り口・傷口のゆ合促進に使える薬剤として登録されています。使うときは製品ラベルの使用方法に従ってください。
てんぐ巣病の枝は落葉期に切り取る
ソメイヨシノは、てんぐ巣病にかかりやすい品種です。日本花の会によると、かかった枝は花が咲かず、たくさんの小枝を出しながら年々大きなかたまりになり、放置すると木全体が弱っていきます。切り取る時期は、病気の枝を見分けやすく剪定の適期でもある落葉期が適しており、切り口には保護剤を塗ります。NHK出版「みんなの趣味の園芸」は、使った刃物をよく殺菌してから次の作業を行うよう案内しています。
🐱 松葉「枝の途中でチョキンと切れば、早く終わりますよね?」
👴 松之助「それがいかんのじゃ。付け根のえりを残して切り、保護剤を塗る。ここまでが剪定じゃよ」
サクラの剪定でよくある失敗
- 葉が付いているうちに大きく切る:木が栄養を蓄えられず、弱る原因になる
- 枝の途中で切る:切り残した部分から腐りが入りやすい
- 切り口に何も塗らない:サクラは切り口から腐りやすいため、保護剤を塗る
- 大きくなってから太い枝を一度に落とす:太い枝を切ると木が衰弱する原因になる。細い枝のうちに整える
脚立が必要な高さの枝、500円玉以上の太さの枝、道路や電線に近い枝は、自分で切らずに専門業者へ相談することをおすすめします。
御庭番.comでは、川崎市・横浜市を中心に、サクラなど落葉樹の剪定、伐採、害虫対策を承っています。木の全体と根元の写真をLINEでお送りいただければ、冬に切る枝を一緒に確認できます。
サクラ以外の木は秋に切っていい?
秋に剪定できるかどうかは、木の種類によって変わります。モミジも秋に強く切るのは避け、本剪定は落葉後の12月〜2月上旬に行います。くわしくは次の記事を参考にしてください。
🐱 松葉「秋は観察、切るのは葉が落ちてから、切ったら保護剤ですね!」
👴 松之助「よく覚えたのう。高い枝や太い枝は、無理せず任せるんじゃぞ」
まとめ
- サクラの剪定は、葉が落ちた後の11月〜2月が基本(遅くとも3月上旬まで)
- 葉が付いている秋に大きく切ると、木が栄養を蓄えられない。枝先を切り詰めると来春の花も減る
- 10月は、枯れ枝・通行のじゃまになる枝・根元の木くずを確認しておく
- 枝は途中で切らず、付け根のえりを残して切る
- 切り口には保護剤を塗る。太い枝・高い枝は専門業者に相談する
参考・出典
- 整枝・剪定|公益財団法人日本花の会
- サクラ類てんぐ巣病から‘染井吉野’を守ろう|公益財団法人日本花の会
- 街路樹剪定マニュアル(令和2年12月)|埼玉県県土整備部道路環境課
- サクラの育て方・栽培方法|みんなの趣味の園芸(NHK出版)
- 桜の花芽形成について|日本植物生理学会 植物Q&A
- トップジンMペースト 製品情報|日本曹達
- クビアカツヤカミキリにご注意ください!|横浜市
- 特定外来生物 クビアカツヤカミキリについて|川崎市
- クビアカツヤカミキリの発見情報の募集(報道発表資料・2026年7月14日)|川崎市
- 「クビアカツヤカミキリ」に関するお知らせ|神奈川県
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